Mo(110)表面上に蒸着されたPtおよびPdの透過型電子顕微鏡(TEM)観察


1.序論

 単結晶基板上に成長させた薄膜はある条件下で基板の結晶方位に対し特定の方位に成長する。これをエピタキシャル成長といい、とくに異種金属間の界面におけるエピタキシーに関する実験的研究は電子デバイスや半導体素子などの開発に大きく寄与し幅広く研究が行われてきた。エピタキシャル方位関係は異種金属の最稠密面である(110)bccと(111)fccの界面においてKurdjumov-Sachs、Nishiyama-Wassermannと呼ばれる関係の存在が明らかにされている。このようなエピタキシャル優先方位関係はY.Gotohらによる結晶界面の界面エネルギーなどから説明された。  本研究ではMo(110)基板上にPdおよびPtを蒸着し、この系における界面のエピタキシャル方位関係と成長様式を透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)により解析することが目的である。

2.実験方法

2.1 基板作成
 Mo単結晶をのロッドをX線ラウエ法によりゴニオメーターで正確な(110)面を決定した後に放電加工機により厚さ0.6mmのウェーハ状に切り出した。これを機械研磨(#400〜4000)により薄くしてから電解研磨法により電子線透過可能な厚さまで研磨した。電解研磨法における電解液には硫酸(H2SO4:97%,H2O:3%)を用いて陽極・陰極にはともにMo板を用いた。陽極と基板を塩化ビニル板で挟み込んで陰極・陽極間には電圧14Vを約6時間かけて研磨した。

2.2 PtおよびPd薄膜作成
 超高真空蒸着装置(U.H.V)を用いてMo基板にPtおよびPdを蒸着した。蒸着材料を加熱・蒸発させる手段としてPtにおいてはE型電子銃を、Pdにおいてはタングステンのバスケットにアルミナをコーティングした坩堝を用いた。また基板の温度制御をするためにMoヒーターを作成し、これを用いた。  超高真空装置に基板を取り付けたMoヒーターと蒸着材料(PtおよびPd)を設置した後に1.0×10^-7torrまで排気した。その後1.0×10^-6torr雰囲気で酸素アニールを10分間行なった。背圧が2.5×10^-10torrになったところで基板温度1500℃、5秒間保持の高温短時間加熱を数回行い基板表面の清浄化をはかり、その後蒸着材料であるPtおよびPdを蒸着させた。蒸着はPtは室温から200℃刻みで1000℃まで基板温度を一定にして蒸着を行った。Pdは同様にして室温から100℃刻みで700℃まで行った。なお、膜圧はPt・Pdともに30Åと50Åの2通りを行った。
 これらの試料を透過型電子顕微鏡で観察した。

[ top of others] [ next]